コラムcolumn
「朝、起きられない」「学校に行きたくない」〜不登校の不安〜
言葉にならないSOSの背景を紐解き、今できる支援とは?
「朝になるとお腹が痛いと言って動けなくなる」「『学校に行きたくない』と部屋から出てこない」「問いかけても黙り込んでしまい、どう接すればいいか分からない」。
2学期が始まるこの時期、お子さんの変化に戸惑い、「このまま不登校になったらどうしよう」と不安や焦りを抱えるご家族は少なくありません。
しかし、「学校に行きたくない」という言葉の背景には、お子さん自身も言葉にできない心や体のSOSが隠れていることがあります。
本コラムでは、発達・心理・行動科学の最近の研究・知見を踏まえ、特別支援教育に長年携わってきた公認心理師・臨床発達心理士の視点から、「行く・行かない」だけでは捉えきれない不登校の背景と、具体的な支援についてお伝えします。
なお、こうした「行きづらさ」は子どもだけのものではありません。大人の「出勤しにくい」「職場に行くことがつらい」という状態にも、環境とのミスマッチや心身の負荷という共通した背景がありますので最後までお付き合いくださいね。
1.なぜ2学期に「行きづらさ」が表面化するのか?
新年度やゴールデンウィーク前後に登校しぶりが見られることがありますが、夏休み明けの2学期に大きく崩れるケースもあります。
1学期になんとか頑張って学校生活を続けていたお子さんが、夏休みを経て再び学校生活に戻ることで、蓄積していた疲れやストレスが表面化することがあります。
特に2学期は、運動会・文化祭・校外学習などの行事が増え、時間割や活動内容も変化しやすい時期です。
「急に学校に行けなくなった」ように見えても、その前から無理を重ねていた可能性があります。
大切なのは、「わがまま」「怠け」と捉えるのではなく、
お子さんを取り巻く環境と本人の発達特性との間に、負担や摩擦が生じているサインとして見ることです。
2.発達障害の特性から見る「学校に行きたくない」の背景
① ASD(自閉スペクトラム症)
ASD特性のあるお子さんにとって、学校は多くの刺激に囲まれた環境です。
教室のざわめき、校内放送、照明、周囲の人との距離、衣服の感触など、視覚・聴覚・触覚の刺激が大きな負担になることがあります。
また、「次に何が起こるのか分からない」「予定していたことが急に変更される」といった予測できない状況も、不安につながります。
2学期は行事や練習などで予定変更が増えやすく、見通しを持っていた予定が本人の了解なく変わることで、強いストレスを感じる場合があります。
② ADHD(注意欠如・多動症)
ADHD特性のあるお子さんは、集団生活の中で「座って待つ」「興味のないことに集中する」「衝動を抑える」といったことに、多くのエネルギーを使っています。
さらに、「注意される」「失敗する」という経験が積み重なると、「学校=叱られる場所」「自分はできない」という気持ちにつながることもあります。
③ LD(限局性学習症)
読み書きなど特定の学習に困難がある場合、本人の努力だけでは解決しにくい負担が続きます。
板書を写す、文章を読む、プリントを理解するなどに時間がかかり、周囲から見えないところで大きな疲労を抱えていることがあります。
「努力不足」「怠け」と誤解される経験が重なると、自己肯定感の低下や無力感につながることもあります。
3.「行ける・行けない」だけではない不登校支援の必要性
不登校支援では、「早く学校に戻すこと」だけを目標にするのではなく、本人が安心して生活し、自分に合った学び方や居場所を見つけることも大切です。
① まず「安心できる環境」をつくる
強い不安や緊張が続いていると、学習や人との関わりに取り組むこと自体が難しくなります。
まずは家庭や相談室を、評価されず安心して話せる場所にすること。そして心身のエネルギーを回復させることが大切です。
② 何が負担になっているのかを整理する
「学校に行けるか」だけを見るのではなく、「何が行きづらさにつながっているのか」をアセスメントします。
例えば、イヤーマフやノイズキャンセリング機器の使用、別室利用、短時間登校、タブレット端末の活用、課題量や提出方法の調整、予定変更を事前に伝えるなど、本人の特性に合わせた合理的配慮や環境調整によって負担を軽減できる場合があります。
③ 自己理解とセルフアドボカシーを育てる
長期的に大切なのは、「嫌な環境に耐え続ける力」だけではありません。
自分の得意・不得意や苦手な環境を知り、「こういう時は助けてほしい」と周囲に伝えられる力、セルフアドボカシーを育てることも重要です。
🌿 心理面と現実面 2つのサポートを🌿
学校とのやりとりや環境調整を進める際、「学校にどう伝えればいいのか分からない」と悩まれる保護者の方もいらっしゃいます。
当相談室では、心理面だけでなく、現実的な支援についても一緒に考えます。
【心理面のサポート】
お子さまの不安や葛藤を整理するとともに、保護者の方の疲れや孤独感にも寄り添い、安心して話せる場をつくります。
【現実面のサポート】
認知・感覚・学習などの特性をアセスメントし、「学校にどのような配慮を伝えるとよいか」「どのような環境調整が考えられるか」を一緒に整理します。前述の①〜③の支援をお一人おひとりにカスタマイズしてご提供しています。
来室しにくくても大丈夫です。オンラインや専用電話でのご相談も承っております。
お気軽にお問い合わせくださいね。
まとめ:これからの「学び」と「生き方」を考える
「学校に行くこと」は人生の目的ではありません。
ASD、ADHD、LDなどの発達特性があるお子さんにとって、学校環境が常に最適とは限りません。
大切なのは、目の前の「登校」だけにとらわれず、本人に合った学び方や居場所を見つけ、自己理解と自己肯定感を育てながら、これからの生活を一緒に考えていくことです。
当相談室では、専門的なアセスメントをもとに、お子さま一人ひとりの特性に合わせた環境調整や、ご家族への具体的な関わり方をご提案しています。
「どうしたらいいのか分からない」という段階でも大丈夫です。
まずは今のお気持ちを、そのままお聞かせください。
無料面談枠もご用意しています。京都で不登校や発達障害について相談できる場所をお探しの方も、どうぞお気軽にご相談ください。
いつでもお待ちしています。